生地屋・マスダ株式会社が語る「繊維のあれこれ」

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COLUMN 繊維コラム

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2020.09.16

おしえて!!マスダさん! ~ 繊維の用語集編 ~

 どの業界にもあるように、繊維業界にも様々な業界専門用語があります。

 こういった業界用語を調べようと思っても、一般的な辞書に載っているケースは少なく、曖昧なイメージで使っている人も多いため、当サイトにおいて繊維専門用語を解説する用語集ページを作成しました。

 当社には繊維業界以外にも沢山のお客様がいらっしゃいます。その為、営業一人一人は丁寧に分かりやすく説明をすることを心掛けておりますが、どうしても無意識のうちに業界専門用語を使ってしまいます。それ以外の場合でも「それってどういう意味だろう」「普通に使われているけど、今更聞けない」といったケースもあるかと思います。

 繊維業界に入りたての方、これから繊維業界を志望する方、長く業界にいたがなんとなく使っていたという方、生地の仕入れを検討している異業種の方はぜひご活用下さい。

 ※当コンテンツは随時更新します。(最終更新日:2021年5月21日)
 ※無断転載はご遠慮下さい。

~お探しの用語解説がない場合は?~

 もし、下記に知りたい繊維用語の解説がない場合はこちらへお問い合わせ下さい。

 当社で分かる用語はスピーディーにお答えします。又、もし当社が分からない用語であった場合でも可能な限りで調査し回答させて頂きます。既に記載の解説についても、分かりにくい、又はもう少し解説が必要な場合は、お問い合わせ下さい。
※お問い合わせ頂いた用語については、お客様に個別に回答後、了承を頂いた上で当欄へ掲載させて頂くことがございます。お問い合わせ頂いた方の個人に関することは掲載致しません。)


(注)当サイトの用語解説は、前提知識がない人でも理解しやすいように書いております。その為、専門的な知見を元に厳密に見た時には、多少の誤表現等があるかもしれませんが、上記趣旨に基づき作られているものとご理解下さい。

■索引

※単語をクリックするとその項目へジャンプします。

ア行:【色泣き
カ行:【加工糸(かこうし)】【カレンダー加工
   【生機(きばた)】【下代(げだい)
   【吸水速乾(きゅうすいそっかん)
   【抗菌防臭(こうきんぼうしゅう)
サ行:【紫外線遮蔽率(しがいせんしゃへいりつ)
   【遮光(しゃこう)】【遮熱(しゃねつ)
   【上代(じょうだい)】【シングル巾
   【スワッチ】【制菌(せいきん)
タ行:【ダブル巾】【着分(ちゃくぶん)
   【中希(ちゅうき)】【デシテックス
   【テトロン】【デニール
ナ行:【生糸(なまいと)
ハ行:【撥水(はっ水)】【バルク】【ハンガー
   【番手(ばんて)】【ビーカー
   【布帛(ふはく)
   【ブリード】【防水(ぼうすい)
マ行:【目付(めつけ)】【(生地の)耳
ヤ行:【UVカット】【楊柳(ようりゅう)
ラ行:【○○ⅿ乱
ワ行:【ワッシャー加工
数字:【50D/144F(ごまるのいっちょんちょん)
英語:【A反・B反・C反】【AW】【C8撥水・C6撥水】
   【ISO規格】【JIS規格】【OEM】【SDGs
   【SEKマーク】【SPA】【SS
   

生機(きばた)/grey fabric

 生機とは、精練(製織段階でついたのりや汚れなどの除去)や染色前の未加工段階の生地のことを指します。織卸(おりおろし)とも言います。

 生機と書いて「きばた」と読むことへの戸惑いは、生地の世界への入門段階として誰もが通る部分です。絹(シルク)の糸について生糸(きいと)と言うのと同じで、生機の「生」は「き」と読みます。そして糸を使って織物を作ることを機織(はたおり)、その機械のことを機織機(はたおりき)、織物を製織する会社のことを機屋(はたや)と呼びます。そういったところから、未完成でほとんど手つかずの織物を生機(きばた)と呼んだのだと思われます。

生糸(なまいと)/grey yarn

 生糸(なまいと)とは、合成繊維(ポリエステルやナイロンなどが代表的)の長繊維で、紡糸されたまっすぐの状態で使う糸のことを表します。製造工程中のPOY(未延伸糸)とは異なり、延伸はされている為、糸の中の分子配列は揃っており、物性面の不安定さはありません。生糸と対比して使われる言葉が加工糸です。合繊のベーシックなタフタは 通常生糸で作られています。

 生糸(きいと)とも読むことができますが、意味が異なってきます。この場合は、絹(シルク)を製糸する過程で、繭から糸を引き出したばかりの、撚り合わせていないものを指します。

加工糸(かこうし)/textured yarn

 POY(ポイ:未延伸糸)を使い、延伸しながら糸に加工を加えて、特徴を持たせた糸のことを言います。代表的なものとして、仮撚(かりより)加工糸タスラン糸があります。

 仮撚加工糸とは、無撚糸に撚りを掛けてから熱セットし、その後温度を下げてから撚りを戻す加工を施した糸のことです。合繊繊維は、軟化点以上まで加熱させると分子が動き始め、温度を下げると分子が動いた状態で固定されます。(熱セット性・熱可塑性)その後は、撚りがかかった状態がその糸の安定した状態になります。例えると、髪にパーマをかけたような状態でしょうか。その後、撚りを戻そうとしても、らせん状のクリンプ(捲縮:けんしゅく)を持つ嵩高(かさだか)性や伸縮性を持った糸が生まれます。この嵩高性を持ったクリンプが毛糸のようであることから、ウーリー糸とも呼ばれます。タスラン糸とは、2本のフィラメント(芯糸・浮糸)を、スピードを変えて機械に送り込み、その中で空気を吹き付けることで糸同士を強く絡み合わせて作られた糸のことです。短繊維のようなナチュラル感を表現できます。

参考:各糸の拡大図 ※クリックで拡大します。

strings_kakudai

 

デニール/denier

 デニールとは、長繊維(ナイロン、ポリエステル等)の糸の太さの単位のことです。9,000mの長さで1gの重さになる糸の太さを「1デニール」と定めています。詳しくは「糸の太さについて(糸番手換算システム)」で解説しています。

デシテックス/decitex

 デシテックスとは、長繊維(ナイロン、ポリエステル等)の糸の太さの単位のことです。10,000mの長さで1gの重さになる糸の太さを「1デシテックス」と定めています。詳しくは「糸の太さについて(糸番手換算システム)」で解説しています。

番手(ばんて)/yarn count

 番手とは、短繊維(綿、麻、ウール等)の糸の太さの単位のことで、一定の重さに対して、糸の長さがどれくらいになるかをもとに計算します。組成ごとに、綿番手、麻番手、毛番手と言うように使い分けます。詳しくは「糸の太さについて(糸番手換算システム)」で解説しています。

テトロン/tetoron

 テトロンとは、日本におけるポリエステルの商標です。ポリエステルが世に普及する前1950年代後半、東レと帝人が生産ライセンスを共同取得した際に作られた造語です。名前の由来は、帝人の「テ」、東レの「ト」、ナイロンの「ロン」を合わせたものからきています。

 近年は、ポリエステルのことをテトロンと呼ぶケースは少なくなりましたが、その名残が綿とポリエステルの混紡生地のことをT/C(ティーシー)と呼ぶところに残っています。この「T」はテトロンのTから来ています。また、混用率の表記も「T/C 65:35」(=ポリエステル65% 綿35%)のように表します。当社の一部定番素材においてもT/Cの呼び方を使っているものがあります。

品名にT/Cの表記がある生地定番
<CM550>T/Cブロード:ベーシックなT/C素材。シャツやユニフォームに。
<CM660>T/Cポプリン:ブロードよりも太い糸を使用した平織素材。
<CM770>T/Cウェザー:ボリュームのある糸を使用した丈夫な仕上がり。
<CM880>T/Cツイル:綿の肌触りが特長のツイル素材。
<CM990>T/Cグログラン:太い横畝(うね)が特徴。カジュアルに最適。

品番にT/Cの表記がある生地定番
<TC110>ポリス綿:T/Cのタフタ素材。シレー加工が施されています。
<TC7540>トリコット鹿の子:表ポリエステル裏綿の高機能ニット。SEKマーク(青)抗菌防臭

50D/144F(ごまるのいっちょんちょん)

 ポリエステルのマルチフィラメント糸の定番的な規格の一つです。この素材は、50D(デニール)の太さの糸を、144本の細かな糸(フィラメント)を束ねて作っている(144F)ことを意味します。「ごまるのいっちょんちょん」というのは、この糸を扱う業界で馴染んでいる呼び方です。

 マルチフィラメントとは、一般的に1本の糸を構成するフィラメントの太さ(単糸デニール)が、1デニール以下のものを言います。言い換えると、フィラメントの数がデニール数より多い糸のことを、マルチフィラメント糸と言います。例えば、50D/48Fはマルチフィラメントとは言わず、50D/72Fはマルチフィラメントに入ることになります。マルチフィラメントの糸を使って生地を作ると、柔らかな肌触りになります。

 当社の生地定番に、<G3220>ゴマルのイッチョンチョンという商品がありますが、これは50D/144Fというマルチフィラメントの糸を使用した規格の生地であることを分かりやすくする為のネーミングになっています。

G3220sam

シングル巾(幅)、ダブル巾(幅)

 生地の幅の目安となる用語です。シングル巾(はば)を、S巾や狭巾(せまはば)、ダブル巾をW巾や広巾(ひろはば)と言うこともあります。

 どれくらいの長さがシングル巾(またはダブル巾)にあたるのかは、生地の素材によって変わることがありますが、シングル巾は90cm~120cm前後、ダブル巾は140cm~180cm前後の幅を指すことが多いです。

(生地の)耳/selvage

 生地の耳とは、生地幅の端の部分のことです。耳の部分が製品に使われることは少なく、この耳を含んだ生地の幅の長さを全巾(ぜんはば)と言い、耳の部分を含まない幅の長さを有効巾(ゆうこうはば)と言います。

 耳の部分には2列ほどの穴が空いていることが多いですが、これは染色整理加工の段階で、生地を洗った後に、針で固定しながら幅を調整する工程においてついたものです。

参考:生地の端を上から見た図 と 耳部分の拡大画像 ※クリックで拡大します。

耳部分の拡大図 

A反・B反・C反

 生地の仕上がり検査の結果で、振り分けられるクラスのことです。A反は良品で、B反・C反は定められたA反規格から外れた格外品であることを意味しています。

 用途や素材に応じて「欠点・傷が○個までならA反」といったような基準が、会社ごとに設けられています。B反以下のものは、想定用途の通常ルートでは販売できなくなりますが、別の用途では欠点が多くあっても問題なく使用できる場合もあります。

 繊維・生地の世界は、全く欠点のないものを常に製造するということは不可能と言えるほど繊細です。

着分(ちゃくぶん)/sample

 着分とは、主にアパレル業界で使われる用語で、「衣服1着分として必要な生地の量」というところから出た言葉です。対義語にあたるのは「バルク」「量産分」になります。

バルク/bulk

 バルクとは、英語で「大きさ、容量、嵩(かさ)」を表す名詞ですが、大量一括で流通する商品、つまり商品を量産する時に使う分を意味します。対義語にあたるのは「着分」「サンプル」になります。(例:バルク向けの生地として300ⅿ必要。)

布帛(ふはく)

 布帛とは、織物の総称です。アパレル系の会社ではこのように呼ぶことが多いです。古くは麻と絹の織物を意味していましたが、今では合成繊維などの他の素材も含みます。なお、布帛に対応する用語がニット(編物の総称)になります。

上代(じょうだい)、下代(げだい)/retail price,wholesale price

 上代とは、「小売」価格のことで、エンドユーザー向けの値段です。定価、メーカー希望小売価格、プロパー(正規)価格と近い言葉になります。
 下代とは、「卸売」価格のことで、バイヤーが卸先から仕入れる時の値段です。同じ上代でも、仕入先によって下代に差が出るケースがあります。

 また、下代は、上代に対する掛け率で表されることもあります。(例:上代2,000円のシャツを、7掛け〔=70%〕で卸すと1,400円となる。)

○○m乱(らん)

 生地の長さ表記で、50mというような表記がある場合は、「1反が50m前後」という意味です。よって1反オーダーしても、48mの反物が届いたり、52mの反物が届いたりします。

 ただし、「乱」の表記が無くても、生地の場合は1反の長さは変わってきます。どうしても一定にすることが困難な為です。「乱」がついているものは、特に振れ幅が大きいものとお考え下さい。このように生地の世界では、1反における長さがバラつく為、取引価格の設定は1反○○○○○円ではなく、1m(あるいはヤード)あたり○○○円で設定されます。

スワッチ/swatch

 スワッチとは、小さく切った見本という意味の英語で、素材感や風合いが確認できるハガキ大の生地見本のことです。商談で見せたり郵送したりするのに丁度良いサイズの見本です。

ハンガー/smple hanger

 ハンガーとは、ハンガーラックに掛けられるようなフックがついたタイプの生地見本です。スワッチと比べて大きく、生地の重みやドレープ性などもより確認しやすくなっています。

目付(めつけ)/weight

 目付とは、1㎡あたりの生地の重さのことで、単位はg/で表記します。他にも「巾なり目付(はばなりめつけ)」と言って、(巻きの幅そのまま)×1mあたりの重さを表すこともあります。その場合はg/と表記します。簡単に言うと、全巾150cm・目付100g/㎡の生地の巾なり目付は、150g/mということになります。巾なり目付の場合は、耳部分も含めた重さとなり、有効巾部分のみの重さではありません。

ビーカー/beaker test

 ビーカーとは、生地をオリジナル色に染める前に、ユーザーが希望する色に染める為の染料配合を決め、確認する工程、もしくはその結果です。簡単な流れとしては、染めたい色の構成を機械で分析し、その後、専用の装置に入れて染色実験を行います。理科の実験等で使うビーカーと同様に小さな器具を使って行う為、この名前で呼ばれています。

 色味は、素材や使用する染料により見え方が異なってくる為、この工程を慎重に行う必要があるのです。

中希(ちゅうき)/listing

 中希とは、染色した同一反物の中央部と両部の間で、濃度や色相に差が出てしまい、生地の場所により色が微妙に異なってしまう染色欠点のことです。似た欠点として、染色方法によっては長さ方向(1反の始めと真ん中と巻き終わり)で濃度や色相に違いが生じる「エンディング(Ending)」や「テーリング(Taling)」といったものもあります。

 染色方法によってはこれらの欠点が出やすいものとそうでないものがあります。染色工場は当然これらのことを踏まえ、染色加工上がりなど要所において検査し、細心の注意を払い出荷して頂いています。

色泣き・ブリード/bleeding

 色泣きとは、洗濯や雨などで生地が濡れてしまった際に、その水分により生地についている余分な染料が浮き出てしまい、水分の広がりに伴い色の濃い部分が淡い部分へ色移りしてしまう現象です。「ブリード」現象とも呼ばれます。
  色泣きの原因は様々ですが、染色後における洗い(ソーピング)の工程で、繊維に完全に結合していない余分な染料をしっかり落とせていないと起こりやすくなります。

楊柳(ようりゅう)/crepe

 楊柳(ようりゅう)とは、タテ方向に細長いシボのある織物です。このシボは無撚りの経糸と強撚の緯糸を平織にすることにより、緯糸の撚りが戻ろうとすることで表れます。生地の見た目が枝垂れ柳(しだれやなぎ)のように見えることから、楊柳と呼ばれています。凹凸感があり、サラっとした着心地になるため、春夏シーズンの衣料向けに重宝されています。

撥水(はっすい)/water repellent

 撥水(はっ水)とは、水を弾く加工です。撥水性のある生地の上に水滴を垂らすとコロコロと玉状になって滑り落ちます。当社の別コンテンツでは、撥水の原理について、さらに掘り下げて解説しています。詳しくは「“生地屋”の機能性解説 ~撥水(はっ水)素材とは?防水素材との違い~」をご覧ください。

C8撥水・C6撥水

 C8撥水とは、C8有機フッ素化合物による撥水剤(または撥油剤)による加工のことです。

 C8撥水剤は、フッ素系加工剤の中でも炭素(C)の数が8個以上のC8テロマー(Rf基の構造を持つ化合物)を原料としたものです。C8撥水剤には、ごく微量のPFOA(パーフルオロオクタン酸)が不純物として含まれていることがわかり、2019年5月に開催されたストックホルム条約第9回締約国会議において廃絶対象物質として指定されるなど、欧米を中心に規制する動きが広がっていました。日本国内では、2020年4月に「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)施行令の一部を改正する政令」が閣議決定され、2020年10月22日(金)からC8撥水剤を使用した加工生地および製品の輸入が禁止されることとなりました。

 今後は、PFOAを含まない炭素数が6個のC6タイプの加工剤(通称C6撥水剤、あるいはPFOAフリー)や、そもそもフッ素を使わない非フッ素系加工剤(通称C0撥水剤、あるいはフッ素フリー)を使用した撥水素材へ移行していくと考えられます。

防水(ぼうすい)/water proof

 防水とは、生地からの水の浸入を防ぐ加工です。衣服内の蒸れを防ぐ透湿防水(とうしつぼうすい)という加工もあります。詳しくは「”生地屋“の機能性解説 ~防水素材とは?透湿防水素材とは?~」で解説しています。

ワッシャー加工/washer process

 ワッシャー加工とは、生地を専用の機械に入れ、水や薬品などを使ってナチュラルなシワ感を出す加工です。シワづけする機械の種類によってシワの形には違いが生まれます。

 普段、生地を染色するにおいて最も気を使うところの一つが、仕上がり時にシワを出さないようにすることです。そういった歴史の中、シワになりにくい生地を作る技術・設備が進化してきました。その結果、現在ではワッシャー加工のような、あえてシワをつける加工が逆に難しくなってきています。

 その点において、このワッシャー加工を用いた当社の生地定番<WA-4200>伝説のワッシャーと、その生地を使ったアパレル製品定番<1880>伝説のスウィングトップは、30年以上販売を続け、上品なシワ感を維持しているまさに伝説の商品達です。

UVカット/UV protection

 皮膚に悪影響を及ぼす恐れがある紫外線を遮蔽する加工です。UVとは、ultra-violet(ウルトラバイオレット)の略で紫外線のことを指します。詳しくは「“生地屋”の機能性解説 ~UVカット素材・遮光素材・遮熱素材とは?~」で解説しています。

遮熱(しゃねつ)/heat insulation

 遮熱とは、熱を遮る機能・または加工を指します。太陽光からの赤外線による熱などを防ぐ加工です。詳しくは「“生地屋”の機能性解説 ~UVカット素材・遮光素材・遮熱素材とは?~」で解説しています。

遮光(しゃこう)/blackout

 遮光とは、光を遮る機能・または加工を指します。外からの光が漏れないようにする目的で日傘やカーテンなどの用途に使われます。詳しくは「“生地屋”の機能性解説 ~UVカット素材・遮光素材・遮熱素材とは?~」で解説しています。

紫外線遮蔽率(しがいせんしゃへいりつ)/UV protection rate

 紫外線をどの程度遮蔽できるかの割合を表した指標です。その素材を着ることで、どれくらい日焼けを防げるかという目安に用いられます。詳しくは「“生地屋”の機能性解説 ~UVカット素材・遮光素材・遮熱素材とは?~」で解説しています。

カレンダー加工/calendering

 カレンダー加工とは、カレンダー機と呼ばれる機械を用いる加工で、ローラーによって生地に熱と圧力を加えて表面を平滑にします。また、シレー加工チンツ加工とも呼ばれます。長繊維織物の産地ではシレー加工と呼ばれ、綿を中心とした短繊維織物の産地ではチンツ加工と呼ばれることが多いようです。シレー加工とはフランス語でワックス(蝋)という意味です。これは元々蝋などを塗布していたことに由来していると思われます。ちなみに、カレンダーの英語でのスペルは「calender」と書き、暦のカレンダー「calendar」とは全く別の単語です。

 これらの加工は、元々生地の表面に強い光沢を付与するための加工です。しかし、現在では、生地に圧力をかけて織物生地の織り目の隙間をつぶすことで、空気の抜けなどをコントロールする為にも用いられます。例えば、ダウンジャケットや羽毛布団などで用いられる生地にはダウン(羽根)が出てこないようにするための必須の加工です。

当社の「カレンダー加工」生地定番一例
<TM-3001>ひかるげんじ(光源糸)ブライト糸使い+表カレンダーによる強光沢
<MX-11W>ニュー エムエックス イレブン:アウターに最適な裏カレンダー加工の定番
その他にも多数取り揃えています。

吸水速乾(きゅうすいそっかん)/water absorption and quick drying

 吸水速乾とは、生地についた汗などの水分を素早く吸収し乾燥させる性能のことを指します。詳しくは「“生地屋”の機能性解説 ~吸水速乾素材(吸汗速乾素材)とは?~」で解説しています。

抗菌防臭(こうきんぼうしゅう)/antimicrobial deodorizing

 抗菌防臭とは、臭いの原因となる黄色ブドウ球菌の増殖を抑えることで防臭する加工です。詳しくは「“生地屋”の機能性解説 ~抗菌防臭素材・制菌素材とは?~」で解説しています。

制菌(せいきん)/bacteriostatic

 制菌とは、特定の細菌(黄色ブドウ球菌、肺炎かん菌、緑膿菌、大腸菌、モラクセラ菌)の増殖を抑える加工です。似た名前の抗菌防臭加工よりも、対応している菌種が広く、菌の活動も低下させる機能になります。
 詳しくは「“生地屋”の機能性解説 ~抗菌防臭素材・制菌素材とは?~」で解説しています。

SEKマーク

 SEKマークとは、一般社団法人の「繊維評価技術協議会」が実施する認証制度です。SEKは、清潔の「S」、衛星の「E」、快適の「K」の略称で、いずれも消費者の生活環境向上に必要な要素です。同協議会の基準に合格した商品にはSEKマークを表示できるようになります。当社の別コンテンツでSEKマークの例をご紹介していますので、ご参考下さい。
参考:「“生地屋”の機能性解説 ~抗菌防臭素材・制菌素材とは?~」

 SEKマークと言うと、「抗菌防臭」「制菌」に関するイメージが強いですが、これらの他にも「抗かび」「光触媒抗菌」「抗ウイルス」「消臭」「光触媒消臭」「防汚」があります。直近(2020年10月)では、「紫外線遮蔽率」に関する認証基準も新設されました。この点については「“生地屋”の機能性解説 ~UVカット素材・遮光素材・遮熱素材とは?~」にてもう少し詳しく解説しています。

ISO規格(アイエスオーきかく)

 ISO規格とは、ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)によって作成される規格のことです。ISOという機関はスイス・ジュネーヴに本部を置き、モノやサービスの国際間取引を容易にする為、モノやサービスなどについて共通のモノサシ(標準化)を作っています。このISOが作る世界的なモノサシのことを、ISO規格と言います。
 ISO規格というとISO14001(企業活動による環境負荷を最小化するマネジメントシステムに関する規格)やISO9001(製品やサービスの品質マネジメントに関する規格)が有名ですが、この他にも約2万もの規格があり、工業・農業・食品・医療など多様な分野を網羅しています。
 日本独自の規格として、「JIS」がありますが、日本ならではの文化や商慣習の影響で、ISOの内容とは異なるものも多く見られます。身近なところでは、A版(A4やA3など)のコピー用紙の大きさは、世界共通のサイズとしてJISとISOが同様の規格になっている一方で、B版(B4やB5)は、JISにのみ規格化された日本独自のサイズになっています。このような商品規格の違いが、日本の企業が海外へ進出する際の足かせになっているとの見方もあり、JISをISOに沿うように制定、もしくは改定するといったことへの重要性が高まっています。

JIS規格(ジスきかく)

 JIS規格とは、Japanese Industrial Standardsの略で、「日本産業規格」と言います。産業標準化法に基づき制定される日本の国家規格のことで、モノの仕様や、それを評価する基準を全国的に統一し、単純化するための規格です。例えば乾電池は、メーカーによって大きさや電圧が変わることもなければ、使える機器等に差が出ることはありません。これは「JIS規格」に則って作られているからと言えます。JIS規格が認証された商品には「JISマーク」がついているので、消費者も安心して購入することができます。かたや、国際規格である「ISO」は、英語やフランス語で規定されており日本人には分かりづらく、又、その規格自体が日本の生活基盤や文化に沿わない部分もあります。その点においてJISは、日本独自の規格として大きな役割を担っています。その反面、JISとISOに違いがあることで、日本で流通している商品を海外へそのまま持ち出せない弊害も生じています。日本の独自性と国際化のバランスをどこで取るのかの問題といえます。

 JISは元々「日本工業規格」という名称でしたが、標準化の対象にデータやサービスを追加することになり、略称のJISはそのままに2019年7月1日に「日本産業規格」へ改名しました。
 JISは「JIS L 1902」のように「JIS ○(英字)○○○○(数字)」という表記になります。英字部分は部門記号と呼ばれており、業種ごとに英字1文字が振り分けられています。繊維部門の場合は「L」が使われます。数字部分は4桁であることが多いですが、ISO等の国際規格に沿うように作られたものについては、それに合わせた5桁の番号が用いられます。
 こうした国独自の規格は色々な国にあります。例えばアメリカでは「ANSI規格」、ドイツでは「DIN規格」といったものがそれにあたります。

SS(エスエス)、AW(エーダブリュー)、FW(エフダブリュー)

 SSとは“Spring & Summer”、AWとは“Autum & Winter”の略で、春夏と秋冬を表します。各ファッションブランドは「2020AW」のように表記していますが、これは「2020秋冬物」という意味になります。

 なお、ブランドによってはAWをFW、すなわち“Fall & Winter”と言い換えている場合があります。これはイギリス英語では秋をAutumで表す一方で、アメリカ英語ではFallで表すためです。そのブランドの発祥地がどこか、どこで展示会で行うか等によって使い分けられます。

SPA(エスピーエー)

 SPAとは「speciality store retailer of private label apparel」の略称で、製造から小売までを一貫して行う業態(製造小売業)のことを指します。エンドユーザーである消費者に近く、流行・トレンドの変化を敏感に感じることのできる業態なので、商品企画に消費者ニーズをタイムリーに反映させることができます。また、製造から小売りまでに仲介する企業がなく、自社の粗利高が高くなるというメリットもあります。代表的なところでは「ユニクロ」や「ZARA」のようなファストファッションブランドがSPAの形態を行っています。

SDGs(エスディージーズ)

 SDGsとは“Sustainable Development Goals”(サスティナブル ディベロップメント ゴールズ)の略称で、「持続的な開発目標」と訳します。2030年までに解決しなければならない社会課題として、国連が2015年9月に設定した世界的な開発目標です。以下の17の達成目標と、これに付随する169の達成基準と232の指標があります。
 上の図はSDGsの17の達成目標を示したアイコンです。日本語以外の各言語でも作られており、字の読めない人でも分かるように絵も添えられています。

 繊維業界は私達の生活に欠かせないもの作る役割を持つ一方で、生産時における環境負荷や、大量生産・大量廃棄の問題があり、SDGsの観点で見た時には多くの課題を抱えています。当社では、こうした課題を最小化する仕組みとして、トレンドに左右されることなく長期にわたって使われ続ける「定番」商品を中心にラインナップし、それらを“必要なときに、必要なものを、必要なだけ”お求め頂けるシステムを構築しています。

 この問題については、環境省も「SUSTAINABLE FASHION これからのファッションを持続可能に」(環境省HPにリンクしています。)の中で提言しています。衣服の生産から廃棄に至るまでの流れにおいて、大量の水を使い大量の二酸化炭素を排出していることをデータで示しており、それがファストファッション企業がもたらす「ファッションの低価格化・短サイクル化」により拍車をかけていることを指摘しています。将来にわたって繊維業界を持続可能にしていく為に、我々繊維業界に携わる企業が問題を把握し、率先して改善に取り組んでいく必要があります。

OEM(オーイーエム)、ODM(オーディーエム)

 OEMとは「Original Equipment Manufacturer」の略で、他社ブランドで販売する製品を、代わりに製造することです。製造委託を受けたメーカーは、他社ブランドの知名度や販売力を加えて生産数量のアップを計り、コストダウンを計れるメリットがあります。一方で、製品の供給を受けたメーカーは、自社の製造に関わるリスクを抑えながら、自社ブランド製品の生産量のアップを狙えるメリットがあります。

 ODMとは「Original Desgin Manufacturer」の略です。OEMは商品企画などは委託側が行いますが、ODMはその延長として、商品企画やデザインからも手掛けます。


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