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COLUMN 繊維コラム

2020.07.20

”生地屋“の機能性解説 ~防水素材とは?透湿防水素材とは?~

<目次>
・防水とは?透湿防水とは? ―防水と撥水の違い―
・防水素材・透湿防水素材の“原理”
・防水素材・透湿防水素材の“用途”
・防水素材・透湿防水素材の“基準値”
・テキスタイル&アパレル マスダの“防水・透湿防水ラインナップ”

 

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おしえて!マスダさん! ~こんな生地ないの?

■防水とは?透湿防水とは? -防水と撥水の違い-

 「防水素材」「透湿防水素材」の解説に入る前に、混同されがちな「撥水(はっすい)素材」との違いから説明します。「撥水」とは「生地の表面に水がついた場合に、水を玉状にしてはじく」加工のことです。しかしながら、長時間雨にさらされたり、水滴の上から圧力が加わったりした場合には、撥水加工では防ぐことは出来ません。生地(織物・編物・不織布)は、糸を使って作られており、必然的に糸と糸との間に隙間があります。その隙間が通気性をもたらしたり、生地の柔らかさ・しなやかさの源になっていますが、その隙間があることで、水が生地の裏側に染み出す原因となります。肉眼では織り目や編み目がしっかり詰まっているように見えても、上から圧力が加わることで水滴は形を変えて生地の中に染み出てしまいます。「撥水」についてさらに詳しく知りたい方はこちらへ。

 この生地目からの染み出しを防ぐ加工防水加工、染み出しを防ぐことが出来る素材が防水素材です。防水素材は、水を通さないと同時に空気も通さない為、衣服にした場合に衣服内に湿気がこもり蒸れにつながります。その不快さを解消する為に進化した加工透湿防水加工であり、それを施した素材が透湿防水素材です。

■防水素材・透湿防水素材の“原理”

 「防水」機能を出す手法は、大きく分けて2種類あります。一つはコーティング加工であり、もう一つがラミネート加工です。コーティング加工は生地の裏面に合成樹脂(アクリル樹脂やウレタン樹脂など)をベタ塗りし、生地目を完全に塞ぐ被膜を作る(coating)ことで水の染み出しを防ぎます。ラミネート加工は、生地とは別に用意したフィルムを生地面にはり合わせる(laminate)ことで水の染み出しを防ぎます。この二つは、生地面にドロッとした樹脂を塗り固めるか、あらかじめシート化したものをはり合わせるかの違いです。さらに、コーティング加工には乾式(かんしき)コーティング湿式(しっしき)コーティングの2種類があります。乾式コーティングは、より簡便なコーティング手法で、樹脂を生地面に塗り、そのまま乾燥させる手法です。そして、湿式コーティングは、樹脂(主としてウレタン樹脂)を生地面に塗布したあと、凝固槽(ぎょうこそう:樹脂を固める設備)に浸漬(しんし)し、その後、水洗槽(すいせんそう)の中を通した後、乾燥させる手法です。

防水手法の分類
 これらの違いはどこにあり、性能や特徴はどのように変わるでしょうか。
 まず、コーティングとラミネートの違いは、機能風合いに表れてきます。(ここからの説明は、メーカー毎で設備や技術などに違いがあるので、一般的な感覚としてご理解下さい。)コーティングは、直接樹脂を塗布して終わるのに対して、ラミネートはフィルムを作った上で、それを接着樹脂ではり合わせる分、ラミネート加工をする方が生地は厚くなります。反面、コーティングは樹脂を生地に直接全面に塗布するため、表生地の風合いが生かされにくい側面もあります。肝心の防水性については、フィルムをはり付けるラミネート加工の方が高くなることが一般的です。なお、ラミネート加工で透湿性を発揮させる場合には、フィルム自体に透湿性が付与されていなければなりません。

 乾式コーティングと湿式コーティングの使い分けは、付与したい機能に応じてなされています。最も一般的な使い分けが、透湿性を発揮するウレタンコーティングを加工する際には、湿式コーティングが施されます。それに対して、透湿性は重視せず防水性に重きを置く場合には、より簡便な乾式コーティングが用いられます。この両手法による風合いの違いは一概には言えません。乾式コーティングの代表がアクリルコーティング、湿式コーティングの代表がウレタンコーティングと見た時に、アクリル樹脂よりもウレタン樹脂の方が柔らかい為に風合いはウレタンコーティングの方が柔らかくなりますが、これは加工手法の違いというよりも加工に使用した樹脂の特性の違いによるものです。

 ここまでは防水素材の種類の違いについて、加工手法の観点から特徴・特性の解説をしてきました。続いて、「透湿防水」加工の「透湿性」という点にスポットライトを当てて解説を進めていきます。
 「透湿防水」とは、衣服内の水蒸気や湿気を外に逃がして蒸れを防ぐ機能を兼ね備えた防水加工を言います。つまり、水を通さないことに特化した防水加工に対して、より快適な着心地を実現する為に液体である水が通ることを防ぎつつ、気体になった湿気だけは通すという非常に高度な加工技術です。この高度な機能をどのように発揮するかというと、雨や水滴よりも小さく、水蒸気の分子よりは大きな孔(あな)が開いた特殊な被膜・フィルムを用いることが一般的です。気体の状態の水粒子の大きさが0.0004μ(マイクロ)であるのに対して、液体状態の水粒子の大きさは100μ~3,000μであることを利用しています。ウレタン樹脂などに水溶性の有機化合物を混ぜて生地面に塗布した後に、水洗槽を通すことで有機化合物を溶かし気体が通過できる微多孔(びたこう)状のコーティング層を生成します。透湿性を発揮するフィルムを製造する場合も基本的には同じ理屈ですが、透湿フィルムには無孔質(むこうしつ)のタイプも存在します。このタイプは、フィルム自体が湿気を吸収し、外部へ放出します。透湿性は多孔質フィルムの方が高くなりますが、防水性は無孔質フィルムの方が高くなります。

■防水素材・透湿防水素材の“用途”

・傘【防水】
 防水が求められる用途といえばやはり傘です。傘としての防水性は、JUPA(日本洋傘振興会)の規定では、雨傘が耐水圧250mm以上、晴雨兼用傘が150mm以上とされています。

・雨具(レインウェア、レインコート、雨合羽)【防水・透湿防水】
 これらの雨具は、傘と異なり肌に接する衣服なので「透湿防水」加工が必要な製品です。機能をうたうのに必要な基準は特に定められていませんが、使用するシチュエーションによって、耐水圧(※下記コラム参照)の高い生地を使用することが重要です。例えば、登山のような雨に打たれ続けることで命の危険に関わってくる場合は、20,000mm以上のものが必要になってきます。

<耐水圧の目安>
小雨 :耐水圧 300mm
中雨 :耐水圧 2,000mm
大雨 :耐水圧 10,000mm
嵐  :耐水圧 20,000mm

 登山する際の装備品(ウェア、テント、寝袋など)も天然繊維が主流の時代は、生地の重さの分、持参する装備を少なくせざるをえませんでした。しかし、合繊機能素材の進化により軽くて高い機能を持つ装備品が開発され、その分、山に滞在出来る期間は長期化しています。登山家が難攻不落の高い山へチャレンジしていく裏側を、繊維素材の進化が支えています。

スキーウェア・スノーボードウェア【透湿防水】
 ウィンタースポーツシーンにおいて、「防水」加工は特に大切です。雪の上に座る・倒れるなどにより、人の体重による圧力がかかると「防水」機能がなければびしょびしょに濡れてしまいます。濡れた場所に座るのであれば最低でも2,000~3,000mm、よりハードに使用されるのであれば10,000mm以上の素材を使用することをお勧めします。水の熱伝導率は空気の20倍以上(約25倍)と言われ、衣服が水を含むと体温が奪われてしまいます。又、運動時にかいた汗がなかなか乾かなければ、蒸発熱により更なる体温低下に繋がるので「透湿」機能も重要です。

ランニングウェア・トレーニングウェア【透湿防水】
 防水素材は水を通さないように生地目を塞いでいるので、風を通さない防風素材であるとも言えます。「防水」と「防風」機能があることで、咄嗟の雨でもウェアが重くならず、体も冷えにくくになります。さらに「透湿」機能があれば、運動時の汗で衣服内が蒸れたり、体にはりついて運動能力を妨げたりすることも軽減します。ウェアの透湿度に、この数値以上でなければならないという基準はありません。しかし、透湿性は防水性と相反する機能であり、用途に応じた適切なバランスの素材を選ぶ事が求められます。一般的に言われる運動時の発汗量は、軽い運動であれば1時間あたり約500g、ランニングウェア等の激しい運動では1時間あたり約1000gの汗が発汗されると言われています。(体質や気候によって変動します。)

サウナスーツ【防水】
 人が着用するものであっても、防水加工のみであえて透湿機能は不要という用途も考えられます。サウナスーツはトレーニングウェアの一種ですが、身体から大量の汗を出すことを目的としている為、密閉度の高い防水素材を使うことで、体から発した熱や汗を逃さずさらなる発汗を促します。この場合は透湿性がない方が効果的になります。

介護用品(シーツ・おむつカバー・エプロンなど)【防水】
 介護用品にも「防水」素材が使われます。例えば、寝たきりの方向けの防水シーツやおむつカバーがあります。もし汚れてしまったとしても、コーティングやフィルムが下に敷かれたマットレス等への浸透を防ぎ清潔を保ちます。介護者にとって日頃のケアが楽になります。
 なお、当社は介護用防水シーツも取り扱っております。こちらもあわせてご覧下さい。

【コラム】耐水圧って何?どれくらいあると十分?

 耐水圧5,000mm以上と聞いても、多くの人はピンとこないのではないでしょうか?これは、1.5cm×1.5cmの生地上に、高さ5,000mm(=5m)の水柱があっても水もれしないことを表しています。同様に、耐水圧1,000mmであれば、1mの水柱があっても水漏れすることはないということです。水には質量があり、より高い水柱になれば、水の重さによって生地により大きな圧力がかかります。それに耐えられる機能を防水性の目安と表現しているのです。

 では、どれ位あると十分と言えるのでしょうか?それに対する正しい回答は、「用途次第」になります。防水性は、普遍的な基準が存在せず、防水性が求められる用途毎に適した生地を選んでいく必要があります。とは言うものの、一般的に防水素材というには、傘で求められる250mmが最低基準と言えそうです。加えて、生地屋の感覚で言わせて頂くと、5,000mm~10,000mmあると「高い」、20,000mm以上あると「すごく高い」といったところでしょうか。下部に当社の防水素材のラインナップを掲載していますので、是非参考にご覧ください。

 また、当社のラインナップの中にも入っていますが、紡糸・製織技術の進化により、糸を高密度に織り上げることでコーティングやラミネート加工を施すことなく防水性を発揮させるノンコーティングタイプの防水素材も生まれています。しかしながら、実現することが出来る防水性は、優れたものでも500~1000mm前後であり、コーティングやラミネートタイプの防水素材に比べると見劣りします。しかし、その分風合いや通気性に優位性を発揮します。防水性と通気性はどうしても相反する機能になりますので、結局は使用される用途に合わせて最もマッチする素材を選択することが最適になります。どの素材が最適か判断がつかない場合には、是非当社にご相談ください。

■防水素材・透湿防水素材の“基準値” 

 防水・透湿防水機能のある商品には「耐水圧:10,000mm以上」や「透湿性:8500g/㎡・24h以上」の表記がされていますが、これはJIS規格で定められた試験に基づいた数値です。これらの数字が大きいほど性能が良いことを意味しています。以下では代表的な試験方法を紹介します。

<防水素材の試験方法>

・防水性試験:JIS L 1092 耐水度試験(静水圧法) A法(低水圧法)
 方法:試験装置(低水圧用)に試験片(約15cm×15cm)を取り付け、水位を上昇させて、試験片の3ヵ所から水が出たときの水位(mm)を測ります。

<透湿素材の試験方法>

・透湿度試験:JIS L 1099 塩化カルシウム法 (A-1法)
 
方法:カップに吸湿剤を入れ、試験片(直径7cm)の表側を下にして、カップ上部を覆います。これを40℃×90%RHの環境を保つ装置入れます。一定時間経過後の、吸湿剤の質量を測り、透湿度(g/㎡・h=1㎡辺りn時間(h)で何gの水蒸気を排出できたか)を求めます。

・透湿度試験:JIS L 1099 酢酸カリウム法 (B-1法)
 
方法:30℃の恒温装置の中に、23℃の水が入った水槽を置きます。計測したい生地の裏面が水槽内の水に浸るよう固定します。吸湿剤(酢酸カリウム飽和溶液)の入ったカップを、測定用補助フィルムで密閉します。このフィルム面が生地に接触するように倒立させて設置し、15分放置します。生地を通過して酢酸カリウム飽和溶液が吸湿した水蒸気の排出量を測定します。

■テキスタイル&アパレル マスダの防水・透湿防水ラインナップの紹介

「防水」素材の【生地定番】

MH-9696 正式<MH-9600>マジカルハーモニー “クロッキー”(日本製)

・特殊三層ラミネート
・耐水圧 20,000mm
※防水機能のみのため、透湿性はなし

TM22M<TM-22M>しんサガタフタ(日本製) 

・アクリルコーティング
・耐水圧 660mm
※防水機能のみのため、透湿性はなし

 

「透湿性能」付き防水素材の【生地定番】

CD3030R<CD-3030R>カチオンマルチストレッチ(日本製)

・ポリウレタンフィルムラミネート
・耐水圧 15,000mm
・透湿度 15,000g/㎡・24h

HB81 <HB-81>ハイ・ブリザテック(日本製)

・フィルムラミネート+トリコット
・耐水圧 11,000mm
・透湿度 8,500g/㎡・24h

PT1<PT-1>プリンテック・ワン(日本製)

・フィルムラミネート+プリント
・耐水圧 8,000mm
・透湿度 8,000g/㎡・24h

TEC5000<TEC-5000>テクノロン5000(日本製)

・ウレタンコーティング
・耐水圧 5,000mm
・透湿度 5,000g/㎡・24h

WX-503<WX-503>メモリッシュ・タッサー(日本製)

・ノンコーティングタイプ
・耐水圧 1,100mm
・透湿度 6,600/㎡・24h 

DF-700R<DF-700R>ニューテキスタイルハンター(日本製) 

・アクリルコーティング
・耐水圧 640mm
・透湿度 4,980g/㎡・24h

TM727<TM-727>ミニ・リップストップタフタ(日本製)

・ノンコーティングタイプ
・耐水圧 460mm
・透湿度 10,000g/㎡・24h

 

「防水」性能の【アパレル製品定番】

TA4005R_L_F<TA-4005R>防水エプロン(日本製)

・リネン洗濯対応の耐熱フィルムラミネート加工
・丈が長いので、足回りもしっかり防水

 

GR-5010_m_f.jpg<GR-5010>裏付きハーフコート(日本製)
・生地定番<GR-501>グレイトツイルを使用
・アクリルコーティングによる防水加工
※縫い目は止水していないため、レインウェアとしては使用できません。

 

CHN3300_M_C_ネイビー

CHN2200_C_ブルー

<CHN-3300>スペクトコート®(裏ボア)
<CHN-2200>スペクトハーフコート(裏ボア)
・アクリルコーティングによる防水加工
・しっかり防寒したい方はロング丈
・防寒しながらもアクティブに動きたい方はハーフ丈

 

CHN-700_m_f.jpgCHN-550_m_f<CHN-700>ブライトブルゾン
<CHN-550>ブライトベスト
・アクリルコーティングによる防水加工
・発色性の良い15色展開。イベントの定番ブルゾン
・夏でも着やすいベスト型もあります。

 

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