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[知識]
繊維の種類と特徴2 ~化学繊維編~
化学繊維・再生繊維【レーヨン】(rayon)【キュプラ】(cupro)・半合成繊維【アセテート】(acetate)【トリアセテート】(triacetate)・合成繊維【ナイロン】(nylon)【ポリエステル】(polyester)【アクリル】(acryl) 再生繊維…木材パルプやコットンリンターに含まれているセルロースを一度薬品で溶解し、その上でもう一度引き延ばして凝固させて糸とする為、再生繊維と呼ばれます。【レーヨン】(rayon)日本で一番早く作られた化学繊維で、東レ㈱→旧社名:東洋レーヨン㈱や㈱クラレ→旧社名:倉敷レイヨン㈱などの社名にその名残を残しています。木材パルプを原料としており、成分は綿や麻と同じセルロース(繊維素)です。 つまり、元が植物ですので、綿などと同様吸湿性・吸水性に優れた特徴を持ちます。レーヨンにはフィラメント(長繊維)とステープル(短繊維)がありますが、フィラメントのものを「人絹」と呼び、ステープルのものを「スフ」(ステープル・ファイバーの略)と呼んでいます。特徴としては、独特の光沢があり、発色性も良い。また、前述の通り、綿などと同様吸湿性に優れています。ただし、吸湿すると極端に強度が低下する欠点があり、また寸法安定性が低く、シワにもなりやすい素材です。【キュプラ】(cupro) コットンリンター※1を主原料とし、酸化銅アンモニア液で溶かし、その上で紡糸・凝固された繊維です。レーヨンと比べると繊維素の配列が整っている為、糸物性・摩耗には強いのが特徴です。ただし、あくまでもレーヨンと比べた場合であり、基本的には繊細な繊維であり、多くの場合、ポリエステルなどと合わせて使用されます。レーヨン同様、主原料が綿であることから、吸湿性に優れ、また繊維中にも水分を多く含み(公定水分率※2が11%)熱伝導率も高い為、肌に触れた瞬間にひんやりとする接触冷感性がある素材です。吸湿性の高さから高級裏地で使用されることが多く、当社においては、ポリエステルの吸汗速乾素材の肌側にキュプラを編み込むことで接触冷感性を持つ商品を在庫展開しています。⇒キュプラ使用素材:生地定番<BEN9006> <BEN8989> 製品定番<MOST-906>※1 コットンリンター種子のついた綿花を、綿の原料となる原綿と種子に分けた際に、種に短い繊維が残る。これをコットンリンターと呼ぶ。※2 公定水分率絶乾状態における、繊維内に含まれる水分の割合。素材 公定水分率(%) 毛 15.0高 絹 11.0↑↓ 麻 12.0 綿 8.5 ナイロン 4.5 ポリエステル 0.4 低 半合成繊維…セルロースや蛋白質のような天然で得られる材料を用いる点では再生繊維に近いですが、天然の繊維素そのものを再生して作られる再生繊維に対して、天然資源に化学品(酢酸)を用いて繊維(酢酸繊維素:アセチルセルロース)を作り出す為、分子の中に天然物と合成物を合わせ持っている繊維です。 【アセテート(ジアセテート)】(acetate、diacetate)綿・麻に似て、不均一で多くの溝を持った断面構造であることから光が乱反射する為、穏やかな光沢の繊維です。適度な吸湿性を持ちながら、速乾性を持ち、むれ・べとつきが少ない生地になります。ただし、水に対して膨潤性が低く、収縮しにくいがシワになりやすく、湿潤時の強度の低下などの弱点もあります。 特殊な用途としては、たばこのフィルターに使用されています。アセテートの中には、セルロースに結合させる酢酸の重量比(酢酸度)が約55%のジアセテートと約61%のトリアセテートがあります。一般的には、アセテートはジアセテートのことを言います。 【トリアセテート】(triacetate)ジアセテートに比べて比較的シワになりにくく、湿潤時の強度低下も小さく、発色に優れており、濃色も出やすいので衣料用に使用されています。ブラウスやニットシャツなど向けに高級素材として使用されています。 合成繊維…石油等を原料にして化学的に合成させた物質から作り出された繊維を言います。合成された物質により、いろいろな繊維が作られています。代表的なものとしてポリエステル、ナイロン、アクリルなどがあります。【ナイロン】(nylon)ジアセテートに比べて比較的シワになりにくく、湿潤時の強度低下も小さく、発色に優れており、濃色も出やすいので衣料用に使用されています。ブラウスやニットシャツなど向けに高級素材として使用されています。 尚、ナイロンの中でも多少の原料の違い※によってナイロン6とナイロン66といった種類があります。この両者の違いは、ナイロン66の方が耐熱性や強度がナイロン6よりも少し高い為、産業資材用途に多く使われ、衣料用には柔らかなナイロン6が主に使われます。 ※ナイロン6は、石油から作られたイプシロン-カプロラクタムを重合し作られるのに対し、ナイロン66は、ナイロン6の中間原料であるアジピン酸と別の石油化学製品であるヘキサメチレンジアミンとを重合して作られます。ナイロンの特徴としては、強度が強く、特に摩耗強く、水に濡れてもほとんど水を吸わないので早く乾き、洗濯が簡単です。また、熱可塑性(常温では変形しにくいが過熱すると軟化し成形しやすくなり、冷やすと再び変形しにくくなる性質。)があり、伸び縮みしたり、型崩れすることはほとんどありません。 ただし、ポリエステルと比べると吸湿性がある為、湿潤状態に置く事で寸法変化が生じたり、長期間の保管や紫外線により黄変(きばみ)が出ることがある為、扱いやすさの面から、汎用性においてポリエステルが用いられるケースが多くなっています。 ただし、ナイロンにはポリエステルに比べて独特のぬめり感をもっており、商品の差別化を図る際などで根強く支持されている繊維です。マスダのストックオペレーションシステムは、昭和50年頃からナイロン素材での展開からスタートしており、取扱いの難しいナイロン素材の在庫ストックには経験に裏打ちされたノウハウが必要で、その商品展開の豊富さは、マスダの特徴の一つです。 ⇒<テキスタイル(ナイロンシリーズ)>【ポリエステル】(polyester) 石油由来の繊維の一つで、PTA(高純度テレフタル酸)とエチレングリコールを重合して繊維化したものを言います。 ポリエステルも細かく分けるとPET(ポリエチレンテレフタレート)、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)に分類されます。一般的なポリエステル素材というのは、PET樹脂を繊維化したものであり、ペットボトルで使用されている樹脂もPET樹脂で、我々の生活に非常に身近な存在です。 ポリエステルの特徴としては、非常に強い繊維で濡れても強さは変わりません。摩擦についても同様です。吸湿性が少なく濡れてもすぐ乾き、かつ縮みも少ないのが特徴です。熱可塑性があり、シワになりにくい特徴をもつ一方、プリーツ加工や織り目を付ける加工をすると洗濯してもとれにくくすることが出来ます。 酸に強いという特徴もあります。非常に物性面で取扱いがしやすく、衣料の他にも寝装やインテリアなどでも世界的にも需要は増加していっています。当社の取り扱っている合成繊維の中でも、ポリエステル素材は群を抜いて豊富な種類を用意しております。⇒<テキスタイル(ポリエステルシリーズ)>【アクリル】 アクリロニトリルを主成分とする繊維で、ウールを目指して開発された合成繊維であり、主にウールと混紡(一緒に混ぜ合わせて糸を作る)して使われたりする繊維です。かさ高な繊維である為、空気層を作りやすく保温性に優れています。その為、用途としては、ニットウェアの他、フェイクファーや毛布、パイルといったものに多く用いられています。アクリロニトリルの含有量が85%以上の場合は「アクリル」、85%未満の場合は、「アクリル系」と表示されます。
[知識]
糸の太さについて(糸番手換算システム)
繊維を理解する上において、糸の太さを理解することが第一歩目となります。 世の中の生地は、基本的に糸の種類、糸の太さ、それをどのように組み合わせるかで、 それぞれの用途に適したものを作り上げられています。 わかりにくいのは、繊維の組成によって糸の太さを表す単位が異なる点です。毛番手 1kgの重さで1kmの長さを「1番手」とする。 つまり、1kgの重さで2kmの長さになる糸は「2番手」。 結果、1番手は2番手よりも太い糸ということになる。綿番手 1ポンド(約453g)の重さで840ヤード(約768m)の長さを「1番手」と定めている。 つまり、1ポンドの重さで1680ヤードの長さとなるものを2番手と言う。 結果、2番手の糸は、1番手の糸よりも軽い(細い)糸ということになる。麻番手 1ポンドの重さで300ヤード(約274m)の長さを「1番手」と定めている。 つまり、1ポンドの重さで600ヤードの長さになるものを「2番手」という。 結果、2番手の糸は、1番手の糸よりも軽い(細い)糸ということになる。 ※上記のように、一定の重さに対して、どれだけの長さになるのかで糸の太さを表す方式のことを「恒重式番手」という。 つまり、恒重式番手の糸は、数字が大きくなるほど糸は細いということになります。デニール 9000mの長さで1gの重さの糸の太さを「1デニール」と定めている。 9000mの長さで10gであれば「10デニール」となる。 結果、1デニールは、10デニールよりも軽い(細い)糸ということになる。デシテックス 10000mの長さで1gの重さの糸の太さを「1デシテックス」と定めている。 10000mの長さで10gであれば「10デシテックス」となる。 結果、1デシテックスは、10デシテックスより軽い(細い)糸ということになる。 ※上記のように、一定の長さに対して、どれだけの長さになるのかで糸の太さを表す方式のことを「恒長式番手」という。 つまり、恒長式番手の糸は、数字が大きくなるほど糸は太いということになります。 素材が異なり単位が異なると数字が大きくなると糸が太くなるのか、細くなるのかは、基本として知っておく必要があります。 基本的には、綿や毛や麻といった短繊維は数字が大きくなると細くなる恒重式、 ポリエステルやナイロンといった長繊維は数字が大きくなると太くなる恒長式と考えておくと 大きな間違いではないと思います。 次に、組成が異なった時に、ある糸と同じくらいの太さの糸はどのような数値の糸であるのかという点です。 例えば、綿の60番手はポリエステルでいうと何デニールになるのか。 下記のシステムを使うと、簡単に比較出来るので、是非活用ください。 但し、計算の関係上、若干の誤差はありますので、目安としてご活用下さい。