生地屋・マスダ株式会社が語る「繊維のあれこれ」

COLUMN 繊維コラム

2016.04.01

繊維の種類と特徴1 ~分類及び天然繊維編~

 テクスチャー(texture=織ること)を語源とするテキスタイル(textile)は、布地を意味します。テキスタイルの原料(糸)となる繊維は、その種類によって多種多様な性質を持ち、それがテキスタイルに対しても長所・短所をもたらします。これは、染色などの工程を経たとしても、基本的に影響を与えます。従って素材を把握するためには、繊維の種類とその特徴・特性を理解しておくことが基本になります。

繊維の種類

 繊維を大別すると天然繊維化学繊維に分かれます。天然繊維は、その名の通り綿、麻、絹、羊毛のように天然に繊維として存在しているものを取りだし利用したものを言います。綿や麻などの植物を由来とする「植物質」、羊毛(=ウール)や絹などの動物を由来とする「動物質」、石綿を由来とする「鉱物質」に分かれます。一般的な衣料としてみると、植物質や動物質の繊維が馴染みあるかもしれません。
他方、化学繊維は人間が人工的・化学的に作り出した繊維のことを言います。原料の違いによって、再生繊維、半合成繊維、合成繊維、無機繊維に分かれます。
※無機繊維(ガラス繊維や炭素繊維など)の説明は省略します。

 天然繊維は、絹を除いて繊維長が短かい繊維(綿や羊毛といった20㎜~麻の600㎜)を撚り合わせて一本の長い糸にする「紡績」という工程が必要になります。短い繊維を合わせて作るので一本の糸の中で太さ・形状が不均一になり、それが「天然のもの」といった味になります。
それに対し、化学繊維は、人工的なものであるが故に均一の長い糸が作ることが出来る為、綺麗な生地を作ることが可能であるとともに機能性を付加しやすく、取扱いやすさもある為、ニーズ・用途は拡がっていっています。

天然繊維

【綿】コットン(cotton)

 最もポピュラーな繊維で紀元前2500年頃から存在していたとされ、綿花の種子の表皮細胞が成長したものが原料になっています。 綿の特徴としては、吸湿性が非常に高く、繊維の内側と外側に湿度差が出来ると内側の水分を吸って、外側に放出しようとします。
その際に気化熱を奪う為に衣服で使用した場合、衣服内の温度が下がり、涼しく爽やかに着ることが出来ます。繊維の先端が丸みを帯びているので柔らかく肌触りが良い素材です。
こういった特徴が衣服とした時に非常に汎用的使用され、最も身近な繊維となっている理由だと思います。 綿は、栽培されている場所によって繊維長(繊維の長さ)が異なり、繊維長が長い方が細く柔らかな糸を作ることが出来る為、高級な綿と言われています。
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繊維長 生産地による種類 グレード
3.5~6cm ・海島綿(シーアイランドコットン)
・エジプト綿
・アメリカ綿(スーピマ綿)
・中国綿(新疆綿)
・ペルー綿
・スーダン綿 高級
高級
2.5~3cm ・アメリカ綿
・メキシコ綿
・オーストラリア綿中級
中級
2.5cm以下 ・パキスタン綿
・インド綿
・中国綿低級
低級

 綿の糸の中には、極端に短い繊維を除去し繊維の方向を揃えるカード工程を経たカード糸と、さらにカード糸の中の短い繊維を除去するコーマ工程という工程を通ったコーマ糸という二つの種類があります。コーマ糸は、カード糸に比べて短い繊維が少なく、毛羽になりにくく、ピリングも発生しにくくなります。
また、綿素材においては、アルカリ処理を施すことで綿繊維を膨潤させるシルケット加工と言われるものがあり、これを行うことで、発色性が向上し、生地にハリやコシが生まれます。

【羊毛】ウール(wool)

img_02 羊の体に生えている毛を刈り取って利用する繊維。動物の毛としては、羊の毛であるウールの他に、カシミヤ山羊の毛であるカシミヤやアンゴラ山羊・アンゴラウサギの毛であるアンゴラなどがあります。
羊毛の生産量は、殆どをオーストラリア・ニュージーランドが占めており、オーストラリアの飼育羊は約4分の3がメリノ種※です。

 ※メリノ種・・・もともと褐色や黒色で衣料にするには不適当であったのを、年月をかけて交配を繰り返して、作り出すことに成功した白色の羊。

 ウールの特徴は、繊維の表面に鱗のような「スケール」と言われるものがあること、および波状の屈曲「クリンプ」があることでもたらされます。クリンプがあることで膨らみ及び弾力性を持ち、かつ空気層を多くもつ為、保温性に優れているが、反面、非常に変形しやすい弱点がある。 また、ウールの別の特徴として、繊維同士が絡みあうフェルト化現象があります。石鹸(アルカリ)と熱を加えてもむことで繊維が絡まり固まる性質を言いますが、家庭洗濯などによる縮みといった欠点となりうる反面、この性質を利用し厚手で密に詰まった生地(フェルト生地)を作ることも出来ます。

 そして、綿糸と同様、繊維長の短いものを除去するか否かで梳毛糸と紡毛糸という種類があります。梳毛糸(ウーステッド・worsted yarn)は、5センチ以上の比較的繊維長の長い羊毛を使用し、繊維を平行に揃え、短い繊維を取り除いて糸とするため、毛羽の少ない滑らかな糸のことを言います。表面が滑らかである為、光沢感があり、スーツなどで使用されています。
それに対し、紡毛糸(ウールン・woolen)は、繊維長の比較的短いものや梳毛糸を作るときに出来る短い羊毛を原料とし、繊維の配列も不規則でクリンプを保った毛羽の多い太めの糸のことを言います。 紡毛糸はツイード素材など使われており、綿のカード糸・コーマ糸とはニュアンスが異なり、品質のレベルというよりも異なる素材を作る為の手法の違いといった意味合いがあります。

 

【麻】

 人類最古の衣料と言われており、紀元前10000年の頃から使用されているとも言われています。麻の中にも種類があり、リネン(亜麻)、ラミー(苧麻)、ヘンプ(大麻)が繊維として使用されています。

  • img_03colmn リネン(亜麻)は、亜寒帯に適した栽培植物であり、比較的寒い地方で湿気が多い地域で良く育ちます。天然繊維や化学繊維の中でも熱伝導性に優れ、体熱を外部へ伝える力が大きい為、夏の衣服に使われることが多い素材です。綿と比べると強度が強く、剛性もあるため、シャリ感があることも清涼感を増す要素となっています。ただし、水を含むと膨潤する為、収縮が起き、またシワが付きやすい弱点があります。
  •  ラミー(苧麻)は、多照で温暖な気候条件と湿潤な土地でよく育ちます。天然繊維の中で最もシャリ感があります。また、繊維自体としても吸湿・放湿性に優れている上、コシが強い繊維の為、多少粗く織っても織り糸が滑脱しにくく、通気性に優れた織物をつくることが出来るのが特徴です。ただし、繊維が硬い為、チクチクと肌を刺激する傾向があります。
  •  ヘンプ(大麻)は、中央アジアを中心に世界各地に分布しています。ラミーやリネンよりもシャリ感があり、肌触りが凉しい。繊維構造が中空の為、吸湿・吸汗性があります。ただし、太くて短い繊維長である為、繊維にすることが難しい素材です。

【絹】シルク(silk)

img_04colmn 蚕が口から吐き出した繭から繰り取った繊維で、動物質の天然繊維の中で唯一の長繊維です。繭からくりとった生糸の断面についているセリシンという皮状の固い部分を精練と言われる工程で溶かしてやることで絹独特の美しさとしなやかさを持った生地となります。
絹は、非常に美しくしなやかな繊維であり、高級素材として知られていますが、反面、経年によって黄変(きばみ)したり、日光により脆化したり、染色堅牢度が良く無いなど取扱いの難しい素材でもあります。

当社の在庫ストックオペレーションとしては、合成繊維が中心で天然素材の展開は少ないですが、綿織物の産地である遠州三河産地や先染め綿織物の西脇産地の仕入先も多くあり、毛織物の世界有数の産地である尾州産地も名古屋本社から程近く、天然繊維の生地をお探しの際は、是非当社へ御相談ください。

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